環境分野の技術士の仕事内容や取得方法を解説 [AD]
技術士という資格があります。技術士法に基づく国家資格の一つで、この資格を取得している人は科学技術に関する高度な知識や能力、技術倫理を備えていることになります。技術士にはさまざまな「部門」が存在します。
今回は環境分門の技術士について深く掘り下げて解説してゆこうと思います。これから取得を考えている人や、将来環境技術士の仕事に携わりたいと考えている人の参考になれば幸いです。
環境部門の技術士はどんな仕事をする?
たとえば大気や水質の状況を測定したり評価したりするという仕事があります。環境コンサルタント会社や公務員の技術職などに就いて、ある特定の地域や工場から排出される水や排気ガスの汚濁や汚染状況を検査し、環境への影響を評価するというものです。
他にも、都市の中で自然の復元に携わることもあります。ダムや橋梁、道路など自然環境への影響が大きいと考えられる公共工事の場合、自然の復元を行うことも増えてきています。そんなときに重宝されるのが環境部門の技術士なのです。
環境への影響を評価しないと、自然環境はどんどん汚されてしまうのです。経済性ばかりを優先するのではなく、同時に環境への影響をきちんと考えておく必要があります。
環境部門の技術士になるには、どうすれば良い?
技術士への第一歩として、まずは「修習技術士」なる必要があります。修習技術士になるには指定された教育課程を修了するか、第一次試験をパスすることが求められます。
指定された教育課程とは、「大学その他の教育機関における課程であって科学技術に関するもののうち、その修了が第一次試験の合格と同等であるものとして文部科学大臣が指定したもの」のことです。文部科学大臣が指定した課程であるかどうかは、大学等のホームページで確認することができます。技術士を目指す人は、理工学部環境工学科などのウェブサイトをしっかり確認しておくことが大切です。「JABEE認定課程」と呼ばれるものがこれに該当します。
一方、第一次試験とは、技術士になるための第1段階の試験と位置付けられている試験です。試験の内容は、大学での学習と同レベルとされています。年齢・学歴・国籍・業務経歴等による制限はないので、幅広い人が受験することができます。試験方法は、択一式の筆記試験で基礎科目、適性科目、専門科目が実施されます。
晴れて修習技術者になったのち、最終的な目標である「技術士」になるには、3つの経路があります。
1つめは、技術士補に登録したうえで指導技術士の下で4年を超える実務経験を積むというものです。2つめは、職務上の監督者の下で4年を超える実務経験を積むというものです。3つめは、7年を超える実務経験を積むというものです。
これらの経路を経たのち、第二次試験を受験します。これは、技術士となるのに必要な技術部門についての専門的学識や専門的応用能力を有するかどうかを判定する試験です。幅広い知識だけでなく、高等な専門技術の豊富な経験による総合的な判断能力が求められます。まず筆記試験が行われ、合格者に対して口頭試験が実施されます。
第二次試験に合格すれば、めでたく技術士になることができます。
環境部門の技術士の難易度はどのくらい?
実際にどのくらいの難易度なのか気になる人も多いことかと思います。令和3年度に実施された第一次試験の合格率を見てみましょう。この回(環境部門)は、955人の受験者数に対して108人合格したと発表されています。つまり、11.3%の合格率となります。決して高いとは言えない数字なので、しっかりと対策をしたうえで試験に臨む必要があるでしょう。
第一次試験の場合、試験の内容が極端に高度というわけではありませんが、出題範囲が広いため過去問題を解くなど幅広い知識を習得しておくことが求められます。
一方で第二試験はどのくらいの難易度なのか見てみましょう。令和3年度の第二次試験において、環境部門を受験したのは411人でした。それに対し合格したのは48人でした。つまり11.7%の合格率ということになります。こちらも一次試験と同様、高いとは言えない数値となっています。
筆記試験の合格基準は60%以上の得点を達成することです。高い思考力と同時に、論文作成においては的確かつ正確に表現することが求められます。用語などをただ単に丸暗記するのではなく、経験を基にした課題設定や問題意識、解決能力が必要なのです。一方で、口頭試験は筆記試験に合格した人のみが受験できる仕組みになっています。ここでは、技術士としての実務能力や適格性などが問われることになります。技術士は、知識や技術、経験とともに高い倫理観が求められる仕事なのです。
まとめ
このように環境部門の技術士なるには、様々なハードルをクリアする必要があり、決して簡単とは言えないのが現実です。しかし、技術士となったのちは、非常に高いやりがいと誇りを持って仕事に邁進することができます。興味を持った方は、ぜひチャレンジしてみてください。